飲酒・二日酔いについて
中医学では、お酒を飲んだ後の体内で五臓が連動して働くと考えます。

脾胃(おなか)から入ったアルコールはまず「肝」に送られ、解毒のために肝が働きます。
肝には気血を調節する働きもあるため、肝が活発化することで全身の血のめぐりがよくなり、体も温まります。
血流がよくなることで「心」の働きも活発になり、心拍が上昇します。
心拍が上がると呼吸も早くなり、次は「肺」が盛んに働きます。
肺は水分調整も行なっているため、「腎」に水を送る働きが強くなります。
そして腎に送り込まれた多くの水から尿が作られます。

適量であれば問題ないのですが、お酒を飲みすぎると解毒を行う「肝」に負担がかかって「湿」と「熱」がこもり、処理しきれなくなります。
水分代謝ができずにこもった水分を外に出し、生まれてしまった熱を冷ます必要があります。

余計な湿と熱を出してくれる効能がある食べ物や飲み物は、お酒を飲んだ後だけでなく飲む前に摂取することでさらに効果的です。

対策とアドバイス

  • 「酒は百薬の長」というように、お酒を少量飲む分には健康に良い効果もあります。適度な摂取量を超えて飲酒するのは控え、休肝するようにしましょう。
  • 1日当たりの純アルコール摂取量は、男性40g未満、女性20g未満を目安にしてください。
  • お酒を飲む前には、おなかが空っぽの状態ではなく食べ物を入れてから飲むようにしましょう。胃炎や胃痛の原因になったり、アルコールの分解スピードが遅くなります。
  • お酒を飲む時は、お酒だけでなく水などの水分を一緒に摂るようにし、アルコール濃度を下げながら飲み過ぎを防ぎましょう。
  • お酒を飲んで酔った夜は、血圧の変動などの危険があるため、入浴しないようにしましょう。
  • お酒を飲んだ翌日の体は、湿と熱がたまった状態です。余計な湿熱を追い出す食材を摂ってコンディションを戻すようにしましょう。
  • 太衝、期門などのツボを押すのもおすすめです。

中医学的ポイント

改善に必要な作用
清熱、利湿、醒酒、解酒毒、生津

おすすめの食材

  • 清熱、利湿、醒酒、解酒毒、生津:クチナシの実、ウコン、しじみ、あさり、海くらげ、まいたけ、柑橘の皮、梨、いよかん、きんかん、サトウキビ、バナナ、りんご

おすすめの薬膳茶ブレンド

緑茶、クチナシの実、トウモロコシのヒゲ、ウコン

監修医師

医師・黄田 正忠
医療法人社団忠恵会理事長、東洋医学未病対策研究会常任理事

中医師・和田 暁
高級中医薬膳伝授師、薬膳アカデミア創立者、世界中医薬学会連合会常務理事