そのため、以下のポイントに着目して養生します。
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補気(気を補う)
体を動かすエネルギーである気は、出産によって消耗されます。消耗した気を補う栄養たっぷりの食事をとり、しっかりと休息をとって体力を回復することが大事です。また、気には体液が体から漏れ出ないようにしたり、筋肉が弛まないようにする働きがあるため、気を補うことで尿漏れや子宮脱などの対策にもなります。 - 補血(栄養を補う)
出産で母の体は大量の血を消耗します。出産時の出血だけでなく、妊娠時から常に栄養をたっぷり含んだ血を送ることで赤ちゃんの体が作られているからです。そして血は、母体の回復や母乳の材料にも必要になるため、出産後は血が不足します。血が不足している状態だと、イライラ、不安、不眠など精神的に不安定になったり、抜け毛が多くなる、母乳が足りなくなるなどが見られます。 - 活血(血のめぐりを良くする)
出産後の胎盤の残りなど悪露は不要はものなので、綺麗に体から出すことが大事です。血のめぐりを良くすることで悪露がしっかりと排泄され、子宮が引き締まり、妊娠前の体の状態に戻りやすくなります。 - 通乳(疎肝理気、利水)
産後、情緒不安になることで気のめぐりが悪くなり、母乳の分泌も滞るようになり、乳腺が硬い、張って痛いなどが見られます。疎肝理気・利水効果のある食材を摂って、気や水のめぐりをよくすることが大切です。 - 増乳(補気補血)
産後の体力消耗によって食事から栄養を取り込む力が低下すると、”白い血液”と言われる母乳の源が足りなくなります。乳腺が張らない、母乳が出ない、量が少ない、色が薄いなどが見られます。気血を補う食材を摂るようにしましょう。
対策とアドバイス
- 激辛で脂肪が多いもの、甘いものは乳腺炎を起こしやすくなるため、控えるようにしましょう。
- 人によって体質は異なり、産後の体にはさまざまな症状が現れます。気になる症状があれば、お近くの漢方医、薬局などにご相談ください。
中医学的ポイント
おすすめの食材
- 補気補血:なつめ、蓮の実、きのこ、カリフラワー、黒豆など豆類、山芋などの芋類、発酵食品、クコの実などのベリー類、ごまなど堅果類、黒米、黒キクラゲ、ひじき、牡蠣、青身魚、赤身肉、卵、ほうれんそう
- 活血:紅花、サフラン、サザンカ、里芋、あずき、茄子、ニラ、蓮根、あさり、ひじき、栗、黒キクラゲ、青身魚、桃、納豆、ワイン
- 疎肝理気:ウコン、柑橘の皮、ゆず、ジャスミン茶、玫瑰花、キンモクセイ、紫蘇、春菊、えんどう、キャベツ
- 利水:ハトムギ、トウモロコシのヒゲ、冬瓜、あずき、えんどう、そら豆、あずき
監修医師
医師・黄田 正忠
医療法人社団忠恵会理事長、東洋医学未病対策研究会常任理事
中医師・和田 暁
高級中医薬膳伝授師、薬膳アカデミア創立者、世界中医薬学会連合会常務理事