妊活について
中医学において、妊娠に適した体には、女性、男性を問わずに「腎精」と「」の状態が健康的である必要があると考えます。

まず大事なのは、生殖機能に深く関わっている「腎」を養うことです。
腎には性ホルモンを分泌する働きがありますが、年齢を重ねたり過労や虚弱体質によって腎の働きが低下すると、排卵や着床に必要な女性ホルモンの分泌力が落ちてしまいます。
陽気を高めて体温や基礎代謝をアップさせ、腎を補うことが大切です。

同時に、全身の栄養源である「」を充実させ、めぐりをよくすることが大事です。
骨盤内の血流量を増やすことで、卵巣や精巣、子宮内膜にしっかりと栄養が届くようになるため、卵子や精子の質が良くなり、着床しやすい体を作ることができます。


妊娠しにくい場合は、中医学では主に以下のように考えます。
  • 肝腎陰虚
    不養生や先天的な虚弱などで腎が弱ることで、妊娠するための精が不足します。滋補肝腎作用のあるものがおすすめです。
  • 肝気鬱滞
    ストレスによってが滞り、排卵などの調整がしづらくなります。疎肝理気作用のあるものがおすすめです。
  • 脾虚痰湿
    脂っこいもの、甘いもの、アルコールの摂りすぎにより体内に余計な水分がたまることで、気の流れが悪くなって排卵がしづらくなります。健脾化痰作用のあるものがおすすめです。
  • 瘀血
    生理の経血や出産後の悪露を出しきれないなどの理由での流れが悪くなり、排卵がしづらくなります。活血作用のあるものがおすすめです。
  • 脾腎陽虚
    体を温める力が不足することで子宮が冷え、月経が遅れたり、性欲が低下します。補陽健脾作用のあるものがおすすめです。
女性も男性も、健康的な食事と生活習慣でしっかりと腎を補い、血のめぐりがよくなる生活を意識しましょう。
現在の体質や気血水のバランスなどは、体質診断からチェックすることができます。

対策とアドバイス

  • 補腎効果のある食材を積極的に取り入れ、栄養たっぷりの食事を摂るようにしましょう。
  • 冷えは万病のもとで、内臓機能の低下にもつながります。寒い格好や環境、冷たい食べ物や飲み物を避け、体を冷やさないようにしましょう。
  • 過労やストレスを避けるようにしましょう。
  • タバコは控えましょう。
  • 血のめぐりがよくなるような食事を摂り、適度に運動しましょう。入浴や足湯もおすすめです。
  • 夜更かしは腎を傷つけるので避け、充分な睡眠をとりましょう。

中医学的ポイント

改善に必要な作用
滋補肝腎、疎肝理気、健脾化痰、活血、補陽健脾

おすすめの食材

  • 滋補肝腎:クコの実、桑の実、ごま、松の実、黒米、黒豆、山芋、ほうれん草、あわび、いか、牡蠣、すっぽん、クランベリーなどのベリー類
  • 疎肝理気:ウコン、ミント、紫蘇、金木犀、ジャスミン茶、玫瑰花、柑橘の皮、絹さや、いんげん、春菊、セロリ
  • 健脾化痰:ハトムギ、大豆等の豆類、湯葉、とうもろこし、鯛などの白身魚、鴨肉、柑橘の皮、なつめ、蓮の実
  • 活血:紅花、玫瑰花、ハイビスカス、シナモン、よもぎ、サンザシ、黒キクラゲ、青身魚、紅麹、赤米、黒豆、納豆、酢、ウコン
  • 補陽健脾:くるみ、ニラ、羊肉、エビ、シナモン、杜仲茶、虫草花、黒トリュフ、なつめ、山芋、かぼちゃ、大豆などの豆類、納豆、発酵食品、生姜、山椒の実、よもぎ

おすすめの薬膳茶ブレンド

杜仲の葉、なつめ、黒豆、サンザシ、クコの実

監修医師

医師・黄田 正忠
医療法人社団忠恵会理事長、東洋医学未病対策研究会常任理事

中医師・和田 暁
高級中医薬膳伝授師、薬膳アカデミア創立者、世界中医薬学会連合会常務理事