安産について
中医学には、「安胎」という言葉があります。
流産を予防し、胎児を安定させることを指します。

妊娠中は、胎盤にしっかりと栄養を届ける必要があります。
この栄養は母体の血から赤ちゃんへ渡りますが、中医学では以下のポイントに着目して養生をします。
  • 補血(栄養を補う)
    胎盤に充分に栄養を届けるには、たくさんの「」が必要になります。妊婦は自分の血を胎児に与えるため、血が足りずに貧血になりやすいです。血は栄養をたっぷり含んだ食事から作られるため、血を増やす食材を積極的に摂ることが大事です。
  • 補気(エネルギーを補う)
    」は、「血」を作ったり体を動かす働きがあるため、虚弱体質や胃腸が弱いなどの理由で栄養が不足すると、充分な血が作れずに血が不足しやすくなります。また、気には子宮など内臓組織をあるべき位置に引き上げる作用もあります。胎児を留めておく力になるため気を補うことも大事です。
  • 補腎(腎を補う)
    生殖や成長など生命に深く関わる大切な臓腑が「腎」で、子宮内の胎児の発達にも関わります。生命を支える「腎精」が不足すると子宮が不安定になり、胎児が栄養がいかずに大きく育ちにくくなったり、流産の可能性があるため、腎を健やかに養うことが重要です。

対策とアドバイス

  • ハトムギ、紅花、サフラン、薬用アロエ、ウコン、シナモン、桃、サンザシ、玫瑰花、モリンガは、妊娠中に禁忌とされています。摂取しないようにしてください。
  • 体質は人によって異なり、妊娠中もバランスは変化していきます。気になる症状がある場合は専門医の診断のもと適した対応を行う必要があります。お近くの漢方医、薬局などにご相談ください。
  • 冷たい物、生のもの、甘いもの、脂肪分の多いもの、激辛の料理は避けるようにしましょう。

中医学的ポイント

改善に必要な作用
補腎、固渋、補気、補陰補血

おすすめの食材

  • 補腎:杜仲茶、栗、くるみ、蓮の実、黒米、黒豆、山芋、エビ、すっぽん、黒トリュフ、虫草花
  • 固渋:レモン、五味子、ざくろ、梅
  • 補気:朝鮮人参、蓮の実、なつめ、山芋、しいたけ、豆類、鶏肉、豚肉、牛肉、卵、白身魚
  • 補陰補血:黒豆、なつめ、牡蠣、すっぽん、いかすみ、牡蠣、貝類、レバー豚肉、鴨肉、クコの実、ごま、海藻類、黒キクラゲオクラ、ほうれんそう

おすすめの薬膳茶ブレンド

杜仲の葉、玄米、クコの実、よもぎ、乾燥レモン

監修医師

医師・黄田 正忠
医療法人社団忠恵会理事長、東洋医学未病対策研究会常任理事

中医師・和田 暁
高級中医薬膳伝授師、薬膳アカデミア創立者、世界中医薬学会連合会常務理事