冬の不調について
冬は、自然界の「寒邪」の影響を受けやすく、五臓の「腎」に不調が出やすい時期とされています。

自然界の寒気、もしくは体の陽気が不足することによって、冷え症、手足のしびれ、肌荒れ、しもやけ、腰痛、関節痛、坐骨神経痛、風邪、頭痛、膀胱炎、動脈硬化などが起こりやすくなります。体を温める温陽・温裏去寒作用のものを摂りましょう。

中医学では、冬は「腎」が弱りやすいとされており、腎を養うことを重要視します。
腎は体を温める力を持っていると同時に「」という生命エネルギーを蓄えている臓。
腎の虚弱によって、腰や膝の無力感、痛み、頻尿、夜尿、性機能の低下、耳が遠い、忘れっぽい、驚きやすいなど老化関連の症状が出やすくなります。
反対に腎が健やかであれば、アンチエイジングとして若々しく元気に過ごすことができます。
なお、腎を補うには黒色の食べ物が効果的とされています。いかすみ、すっぽん、黒ゴマ、黒豆、黒米、黒きくらげなど積極的に取り入れましょう。

寒い冬は外側からも内側からも体を温めるように意識しましょう。
また、中医学には「冬令進補、開春打虎」ということわざがあり、これは冬の間に体力を蓄えると、春を元気に迎えられるという意味です。
そのため、気血水を補うような食事(補気、補血、補陰)を取り入れ、同時にしっかり栄養を吸収するために胃腸を健康にする(健脾)ことがおすすめです。

対策とアドバイス

  • 体を冷やさない格好、環境を心がけ、特におへそを中心に体を温めるようにしましょう。
  • お風呂や足湯に積極的に浸かりましょう。
  • 冬は早めに寝床に入り、たっぷり睡眠時間をとるようにしましょう。
  • 陽池、腎兪、足三里、合谷、百会、三陰交などのツボを押すのもおすすめです。

中医学的ポイント

改善に必要な作用
補腎温陽、温裏去寒、補気、補血、補陰、健脾

おすすめの食材

  • 補腎温陽:山芋、蓮の実、栗、黒豆、ごま、くるみ、ニラ、ねぎ、羊肉、鹿肉、鶏肉、エビ、ムール貝、くるみ
  • 温裏去寒:ニラ、うど、よもぎ、らっきょう、しょうが、シナモン、八角、クローブ、胡椒、山椒、唐辛子、黒糖、黒酢、紅茶
  • 補気:朝鮮人参、蓮の実、なつめ、山芋、しいたけ、豆類、鶏肉、豚肉、牛肉、卵、白身魚
  • 補血:クコの実、桑の実、なつめ、黒豆、堅果類、黒キクラゲ、レバー、青身魚、牡蠣、いか
  • 補陰:ごま、すっぽん、貝柱、あわび、鴨肉、豚肉、クコの実、ベリー類、白キクラゲ、百合根
  • 健脾:山芋、蓮の実、なつめ、きび、柑橘の皮、納豆、味噌、紅麹、甘酒

おすすめの薬膳茶ブレンド

アールグレイ、シナモン、乾燥生姜、虫草花、杜仲の葉、紅花

監修医師

医師・黄田 正忠
医療法人社団忠恵会理事長、東洋医学未病対策研究会常任理事

中医師・和田 暁
高級中医薬膳伝授師、薬膳アカデミア創立者、世界中医薬学会連合会常務理事