中医学では、五臓のうち「肝」が自律神経の調節を行い、気血のめぐりのコントロールや、情緒を安定させる働きを担っていると考えています。
この肝はストレスの影響を受けやすいため、ストレスを受けて働きが乱れると、気血にまつわる不調や情緒面の不調などさまざまな症状が出てくるようになります。
過剰なストレスを受けた肝が気のめぐりをコントロールできなくなると流れが詰まることで体に熱を持ちやすくなります。気をめぐりを良くしながら、余計な熱を冷ましてあげることが必要です。肝が高ぶると交感神経が常に優位の状態になり、歯ぎしりなどが見られます。
ストレスのある状態が長く続くと、ストレスと戦うために肝に負担がかかって肝が疲れてしまいます。肝を保護するために陰血(体液や血)を養うことが大事です。
また、五臓は互いに密接な関係を持って動いているため、肝に不調が出ると脾胃をはじめとする他の五臓の働きにも影響を与え、胃腸の不調が起きることなどもよくあります。
日頃からストレスやプレッシャーを強く感じている方は、気のめぐりが悪い「気滞」体質に当てはまる可能性があります。
体質診断を活用して自分の体のバランスを確認してみましょう。
対策とアドバイス
- 趣味を楽しむなどしてストレスを解消しましょう。ヨガやアロマでリラックスしたり、体を動かしてすっきりするのもおすすめです。
- ストレスを一時的な問題だと看過しないでください。生活習慣だけでなく、環境や人生観を見つめ直してみるのがいいかもしれません。自分にとっての心の健康はなにか、幸せとはなにか、自分らしい生き方は何か、大切なことに向き合いましょう。
- 太衝、期門、肝兪、合谷、神門、大陵、心兪、内関などのツボを押すもおすすめです。
中医学的ポイント
おすすめの食材
- 理気:ミント、みかん、ゆず、春菊、セロリ、紫蘇、キャベツ、マッシュルーム、ジャスミン茶、玫瑰花、キンモクセイ
- 清熱:菊花茶、金針菜、セロリ、ブロッコリー、青くび大根、貝割れ大根、豆苗、クコの葉、大麦、スイカ
- 平肝:ミント、セロリ、桑の葉
- 補陰血:ほうれんそう、あわび、しじみ、あさり、ごま、クランベリー、ラズベリー、クコの実、桑の実
監修医師
医師・黄田 正忠
医療法人社団忠恵会理事長、東洋医学未病対策研究会常任理事
中医師・和田 暁
高級中医薬膳伝授師、薬膳アカデミア創立者、世界中医薬学会連合会常務理事